以前は高齢になると歯を失っていく人が多かったのですが、８０２０運動（８０歳まで２０本の歯を残そうという運動）の普及などにより高齢者の残存歯数が飛躍的に増加しました。

７５～７９歳の方で見ると、２０本以上の歯を持つ人の割合が１９８７年には９．４％だったのに対し２０１１年には４７．６％まで上がりました。８０～８４歳の方でも、１９８７年には７．０％だったのが２０１１年には２８．９％になっています。

国民の平均寿命も年々延びていることから自分の歯をもったまま年齢を重ねる高齢者が増えています。

これはとても素晴らしいことなのですが、一方で、疾病と障害を持ち感染しやすい高齢者の方にとって、難しい条件や環境下で歯や口の中を管理していかなければいけないということになります。

在宅療養中の高齢者の中には、お口の衛生状態が低下し歯周病をはじめ口腔感染症になっている方が多くいます。

さらに飲み込む機能が衰えてくると、お口の中の細菌が原因で肺炎を引き起こしたり発熱を起こすこともあります。

病院に入院されている患者さんでも、全身管理が優先されるため口腔ケアまでは行き届いていないのが現状です。